生態系生かしたオーガニックガーデン
2009年5月4日の朝刊より引用。
繁茂する木や枝を切り、日当たりが良くなった黒木さん方の庭=さいたま市北区で
庭の手入れは、病虫害が発生しやすいこれからが大変な季節。殺虫剤や殺菌剤などの農薬に頼る人もいるだろう。しかし、農薬を使えば、害虫を食べる天敵も一緒に排除することになる。いろいろな虫が植物と共存する庭も、観察すれば意外に楽しい。そんな庭づくりを専門家に教えてもらった。 (重村敦)
さいたま市北区の団体職員黒木綾子さん(52)方の庭を訪れると、初夏の日差しが降り注いでいた。ハナミズキやツバキ、ミカンなどが植えられた約二百平方メートルの庭は、雑草も生えるままにしてある。昨秋、密集した桜や柿などを伐採し、残した木も剪定(せんてい)した結果、風通しのいい明るい庭に生まれ変わった。
「この黄色いのがツマグロオオヨコバイ。あまり害はないですよ」
庭の改良を手掛けたひきちガーデンサービス(埼玉県飯能市)の曳地トシさん(50)が、ミカンの葉にいた体長一センチほどの虫を指さした。トシさんと夫義治さん(52)夫妻は、農薬や化学肥料を使わない「オーガニックガーデン」を実践。「虫といっしょに庭づくり」(築地書館)などの著書があり、生物でにぎわう庭づくりを提案している。
黒木さんは、近隣で散布された農薬で体調を崩した経験があり、もともと農薬を使わなかったが、ツバキに発生するチャドクガの害に悩まされ、昨年曳地さん夫妻に手入れを依頼。風通しや日当たりの悪さが影響していたため、木や枝を大胆に間引き。生ごみを堆肥(たいひ)にするコンポスト容器も設置し、これから庭の通路を改良し、雨水タンクも取り付ける予定だ。
明るい庭になり、虫や小動物が目につくようになった。幼虫の時にアブラムシを食べるヒラタアブがホバリングしたかと思えば、スジグロシロチョウが舞い、アシナガバチが飛び、カナヘビも姿を見せた。黒木さんは「害虫ぐらいしか知らなかったけど、これからはいろんな虫に目を向けたい」と張り切る。
オーガニックガーデンの基本は、生態系を生かすこと。庭の植物を食べる虫がいて、それを食べる虫や鳥などがいて、その排せつ物や死骸(しがい)を土壌の微生物が分解し、植物が吸収する-。「生き物のつながりを大切にする庭だから、農薬を使うと成り立ちません」と義治さんは強調する。アブラムシを農薬で退治すれば、天敵のテントウムシもヒラタアブもクサカゲロウも庭に来なくなる。
オーガニックガーデンのポイントは▽剪定し風通しや日当たりを良くする▽堆肥を使って健康な土をつくる▽多種類の植物を植える▽気候風土に合った在来種または帰化して長い外来種を選ぶ-など。欲張って植えると、成長して密度が高くなるので、曳地さんは「すき間があるぐらいがいい」とアドバイス。
無農薬に切り替えたとたん、害虫が大発生することもあるが、しばらくすれば落ち着くという。どうしても虫が気になるなら、食材などで作るニンニク木酢液などの「自然農薬」を使う。原液を三百-千倍程度に薄め、四、五日おきにスプレーなどで噴霧する。ただし、虫を遠ざけるのが目的だから普通の殺虫剤と同じ効果はない。
肥料は、生ごみで作った堆肥が最適。生ごみを分解する細菌には、好気性と嫌気性の二種類あるが、好気性細菌の方が悪臭がなく、使いやすい。
昔は虫嫌いだったというトシさん。それが今や虫やクモなどに夢中だ。「植物以外の生き物のことを知ると、庭がもっと楽しくなる。身近な庭で生物多様性が体験できますよ」と力を込める。
◆「自然農薬」ニンニク木酢液
【材料】
・ニンニク 50グラム
・トウガラシ 50グラム
・ドクダミ(葉と茎) 150グラム
・木酢液 1リットル
【作り方と使い方】
<1>皮をむいたニンニクをみじん切りにする
<2>トウガラシの種を取って小口切りにする
<3>(1)(2)を木酢液に漬ける
<4>ドクダミを洗って乾燥させ、ざく切りにして(3)に加え、3カ月ぐらい寝かす
本日のカウント
本日の歩数:10,451歩
(本日のしっかり歩数0歩)
本日の割箸使用量:0膳
本日の餃子消費量:0個
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