井上靖「しろばんば」のゼリー

井上靖の「しろばんば」にゼリーが登場する。食べてみたい気がする。この暑さだと、おいしいだろう。
洪作は父の転勤などを機に、曾祖父の愛人だったおぬいばあさんと伊豆・湯ヶ島の土蔵で暮らす。小学2年生の夏休み、軍医だった父の赴任地・豊橋を訪れ、若松園という大きな菓子屋へ立ち寄って、そこの喫茶部で母や妹たちとゼリーを食べた。
「スプーンを入れるのが勿体ないように洪作はそれが美しく見えた。口に入れると溶けるように美味かった」
1910年代の話となっている。
若松園は豊橋市中心部近くの旧街道沿いに今もある。01年創業の老舗和菓子店。喫茶部は道路を挟んだ向かいにあったが、45年の空襲で焼失、駐車場に変った。
ソーダ水やフルーツポンチなど当時としては珍しい洋風のデザートがメニューに並び、文化人のサロン的な存在だったようだ。
若松園は井上靖の生誕100年を迎えた昨年、「井上靖文学館」(静岡県長泉町)の依頼などをうけ、このゼリーを復活させている。戦災でレシピを失ったが、先代の「原料に夏ミカンを使った」という言葉を頼りに研究を重ね、最高級の日向夏を使って、溶けるように美味い味を再現した。
井上靖は、洪作と同時代の時期に数回、豊橋を訪れている。井上作品に特定の店名が登場するのは、珍しく、作者本人にとってゼリーの味はよほど記憶に残ったのでしょう。
現代なら湯ヶ島から豊橋まで車で数時間だが、当時は馬車と汽車を乗り継いで1泊2日。
本日のカウント
本日の歩数:9,407歩
(本日のしっかり歩数:0歩)
本日の割箸使用量:1膳
本日の餃子消費量:1個
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